上羽陽子・山崎明子編「現代手芸考 ものづくりの意味を問い直す」

手芸の先生と呼ばれる人たちと長く仕事をしてきて、ずっと「手芸を仕事とする」ということについてもやもや考えていたのが、初めてこうやって論じられているものを読むことができて嬉しい。(一般に手芸は生活を支えるほどの収入を得ることは難しい。でも受講料をとって教えたり、作品を売るということは経済活動ではある。収入源というよりは自己実現の意味合いが強い人が多いが、稀に講師育成やキット販売、レシピ作成などで経済的に成功する人もいる。しかし流行り廃りも大きいので、安定は難しいだろう。講師育成は、生徒の自己実現の目標となり、組織化されやすい。このあたり、一時期たくさん目指す人がいたヨガインストラクターにも構造が似ている気がする。どちらもほぼ女性であることが特徴。など。)手芸を手段としたコミュニティの形成、という話は納得しながら読んだ。もっとこういう論を読みたい。