古庄弘枝「沢田マンション物語」

とある夫婦が二人で建てたマンションがあるというのを、昔テレビで観た記憶がある。彼らは、自分たちでなんでもかんでもこなす。基礎から設計から配管から何から何まで。井戸水も自分たちで掘りあげた。同じ間取りの部屋は二つとなく、建ててからもどんどん増改築が繰り返されている。


そのマンションが今度遊びに行く高知にあると聞いて、この本を読んでみた。沢田夫婦がどんなふうに育って、どのように沢田マンション建設に至ったのかよく分かったのだけど、いかんせん二人とも、いごっそう、はちきん過ぎる。「とにかくこの夫妻はすごい」という話ばかり続くので、よくいえば偉人伝、悪くいえば酒の席で繰り返し聞かされる年配の人の話。いやもう勘弁して下さい。ご夫妻がほんとにすごいのはよく分かったから。もっと客観的な文章だったらよかったのに。


見返しや裏表紙などにたくさんマンションの写真があったのはよかった。ますますどんなところだか分からなくなる。今、沢田マンションでは期間限定でカフェをやっているらしいし、遊びに行けたらいいな。

沢田マンション物語

沢田マンション物語