岸政彦「ビニール傘」

「俺」や「私」が次々と変わっていく。時制が入れ替わっているのかと思いながら読んでいくと、そういう訳でもないようだ。それぞれの人生、違うようで似ている、ということなのかな、とか読み終わってから考えながら、荻上チキさんのラジオに岸さんが出た時のラジオクラウドを聞いたら、著者の意図としては「俺」はずっと一緒で世界が変わっている、ということらしい。岸さんらしい文章で不思議な小説だった。和歌山の小さな町の出身の女の子の人生をしみじみ考えたりする。

ビニール傘

ビニール傘