レベッカ・ブラウン「家庭の医学」

私はこの本をずっと短編小説集だと思い込んでいたのだが、作者が母親を看取るまでのノンフィクションだった。とてもプライベートな出来事なのに、感情的になりすぎることなく、自制心を持って綴られている。しかしその淡々とした文章には、さまざまな思いが浮かび上がる。


やはりどうしても、自分が祖父を同じ病気で看取った時のことを思い出しながら読んでしまう。祖父が少しずつこの世から離れていく様子。ずっと生き続けて欲しいけどそれは叶わない、という事実を皆で受け入れること。死に向かう人を前にしてどうすることもできないこと。それから、遺伝的要素というものがほんとうに存在するならば、今は健在な私の親も、きっと同じ病気で亡くなるだろう。その時のことも、想像しながら読んだ。個人的だけど一般的な出来事。

家庭の医学

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