キャサリン・サンソム「東京に暮す」

図書館で見かけて借りた。何かでこの本のことを書いた文章を読んで、読んでみたいなあと思っていたのだった。


昭和の初めの頃のイギリス人から見た日本についてを書いた本。彼女は文化や環境の違いを楽しむことができる人で、日本を見下すことなく、敬意を払い、かといって盲信的でもなく、当時の東京での暮らしが綴られている。こういうすごく普通の視点を持てることは、実はとても貴重なのではないか。


現代に生きる日本人としては、今と変わっているところと変わっていないところが面白かった。日本人は物を必要としない生活様式なのに買い物が大好き、なんて耳が痛いわー、と思うし、蕎麦屋の配達の人はせいろを何段も重ねたのを片手に持ったまま自転車を器用に操る、っていうのは実際には見たことないなあと思ったり。家長制度や女性の社会進出の話を読むと、今は随分自由になったなあと思うけど、でも全く無くなったという訳でもないな。


東京に暮す―1928~1936 (岩波文庫)

東京に暮す―1928~1936 (岩波文庫)