昭和初期の良家の子女の暮らしを垣間みることのできる風俗小説としての一面と、日常の謎を探るミステリとしての一面と、どちらも面白過ぎて読み終わるのがもったいなくなった。主人公の英子さんは、円紫さんシリーズの「私」によく似ている。賢くて、育ちが良くて、身近な聡い人の意見を素直に受け入れて。ラスト、すべてをつまびらかにしない上品さが北村さんの小説のいいところだけど、二・二六事件については自分が無知過ぎて恥ずかしくなった。
- 作者: 北村薫
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2011/10/07
- メディア: 文庫
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